この文章は、某ネットニュースサイトに平成23年1月~3月までの間に連載(全40回)させていただいものです。
記事の内容は、8年近く前になりますが、行政改革や地域主権改革が、現在に至ってもほとんど進んでおらず、むしろ後退したかのように感じるは私だけでしょうか?
記録として残して行こうと思いますが、もし、少しでも皆様のお役に立てることがあれば幸いです。
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「行政改革・市政改革」と言われはじめて、もうどれくらいの時間が経つでしょうか?
私は、1987年(昭和62年)に福岡市役所に入庁以来、約23年間、地方行政に携わるなかで、様々な政治・行政の仕組みが制度疲労を起こしていることを目の当たりにしてきました。
道路や公共施設の建設など公共事業によるインフラ整備に頼った景気誘導施策や、地方自治体の設立した第三セクター(国で言えば特殊法人など)による行政サービスの提供などの、これらの仕組みは、もはやその有効性が失われています。
従来は、国も地方も大きな政府(大きな行政)を「是」としてきました。しかし、社会は今、高度経済成長社会から、少子高齢化・人口減少・経済の低成長・国民の価値観の多様化という特徴を有するいわゆる「成熟社会」へと確実に変容しており、毎年度予算が拡大していた「高度経済成長社会」を前提として成り立ってきた政治・行政の仕組みは、早急に変革しなければならない時期を迎えています。
事務事業評価や行政経営という概念に代表されるニュー・パブリック・マネジメント(NPM)の考え方が行政実務に導入されて、すでに十数年近い期間が経過しています。私は、行政改革を志向する根底にある考え方は、単なる小手先のバージョンアップではなく、行政の仕組みとその前提となる「社会」との整合性を図ることではないかと考えています。つまり、行政の仕組みは、その拠って立つ「社会」に適合しなくてはならないということです。
これからの成熟社会においては、行政のみで「公共(パブリック)」を支えていくことは不可能であり、市民、NPO、地域団体、企業、起業家など多様な担い手を創出することが早急に求められています。そして、国と地方の関係においては「地域主権」、行政と市民の関係においては「官から民へ」という理念のもと、「地域のことは地域で決める」「民でできることは民でやる」という真の民主主義のスローガンを掲げて,政治を国民(市民)の手に取り戻していかなければなりません。
福岡市役所もこれまで様々な手法で「行政改革」を行ってきましたが、結果的には、いまだに市民に信頼と共感していただける状態には達していません。
それはなぜでしょうか?
市政に対する市民のみなさんの関心が少しでも高まることを願いながら、私が市役所の内部から、改革の現場を見てきたなかで気がついたことをいくつかお話しさせていただきたいと思います。 (つづく)
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