この文章は、某ネットニュースサイトに平成23年1月~3月までの間に連載(全40回)させていただいものです。 記事の内容は、8年近く前になりますが、行政改革や地域主権改革が、現在に至ってもほとんど進んでおらず、むしろ後退したかのように感じるは私だけでしょうか? 記録として残して行こうと思いますが、もし、少しでも皆様のお役に立てることがあれば幸いです。
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成熟社会に適合する新しい行政の仕組みをつくること、それこそが今まさに切実に求められている「行政改革」なのです。それは実のところ、「行政の役割」そのものを見直す大仕事ですが、やらなければならない喫緊の課題であり、日本の将来を左右する大きな問題であると私は考えています。
平成4年前後のバブル経済崩壊以後、国も地方も国内経済の浮揚策として公共事業など様々なてこ入れ策を行なってきましたが、その効果は芳しくなく、経済の低迷が長期化し、行政における経済政策の無策ぶりを表して「失われた10年」と揶揄されるに至りました。
景気の下降が止まらず、民間企業の所得水準も伸び悩むなか、それまでの高度経済成長期やバブル経済期には、あまり目を止められなかった「行政の税金の使い方」に、国民から厳しい目が寄せられるようになり、平成7年から8年頃には、情報公開制度を活用した市民活動も活発化して、全国で地方自治体の官官接待やカラ出張などが新聞紙面を賑わせるようになりました。福岡県においても不正経理で支出した公金を全職員で返還することになったのもちょうどこの頃でした。
そのようななか、福岡市役所で「政変」が起こりました。
平成10年11月の福岡市長選挙で大方の予想を覆して、山崎広太郎氏が当選しました。市長選挙で現職(現職の後継者を含む)が破れるのは戦後初めて出来事でした。
山崎氏は、市長選において「開発行政からの転換」をうたい、「大規模事業の一斉点検」、「アイランドシティ(人工島)事業の見直し」、「行政運営に民間の経営手法の導入」、「徹底した情報公開」などの思いきった公約を打ち出しました。
これらの公約のいくつかは、市役所の風土を変え得る大きな可能性を秘めたものに発展しましたが、アイランドシティ(人工島)事業の見直しについては、後で触れますが、市民の期待に応える結果を残すことができませんでした。
このアイランドシティ(人工島)事業は、まるで福岡市政の喉元に奥深く突き刺さった魚の骨のようで、カルマのような課題となって様々な面で市政に影を落としてしまっています。 (つづく)
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